かなり古い話だが20年以上前の中学時代の話。思い出したので記録しておく。制服の下に私服の短パン(半ズボン)を履いていたことで起きた「水色短パン没収未遂」の一件は、今でも鮮明に覚えている。2000年代の北関東の公立中学。
当時、学校には生徒用の更衣室がなく体育の授業や掃除の時間の前後の着替えは教室で男女一緒に行っていた。今思えばこれだけでも充分ブラックだった。しかも掃除の時間はジャージ着替え必須である上に体育以外の授業は制服着用必須の為、毎日必ず2回以上、多い日は4回ほど着替えが発生した。男子は制服の中に上はTシャツ、下は短パン着用が事実上必須で、ごく稀に誰かが短パンなしでトランクスやブリーフなどの下着のパンツだけになるとクラスメートから非難の目が飛んできた。学校指定の体操服短パンは分厚い素材で、制服のスラックスの下に履くと動きにくくて不人気。履き心地が悪いだけではなくデザインもかなりダサかったので嫌がっている生徒が多かった。
そんな環境で、違反だけど私服の短パンをスラックスの下に履く生徒が約4割くらいいた。放課後や休日などの学校外のプライベートで履くもので色は白や黒などの地味なものから水色やオレンジなどの比較的派手なもの、柄や模様が入っているものなど多岐に渡った。校則では私服禁止なので制服の下にパーカーや色柄もののTシャツを着ているのが見つかると頻度は低いものの運が悪いと没収されてしまうケースもあった。しかし私服短パンは軽微な違反扱いで、黙認されるケースやより多く、運悪く注意されたとしても軽い注意で済むことがほとんどだった。報道などでたまに問題視されるような男子生徒が一斉にスラックスを下ろされて中に何を履いているか調べられるような検査はなく、ランダムに教員に見つかっても「次は気をつけろ」くらいで没収どころか脱がされるケースは僕の知る限り見聞きしたことはなかった。僕はもともと短パン好きでプライベートでは年中愛用していたのでこれを好都合に感じ、小心者ながら中2のある日、ついに学校指定の体操服短パンから私服短パンに切り替えた。最初はドキドキしたが、もともと気に入っていた私服短パンを学校でも履けることの快適さと私服短パン着用が一般的であることによって履いていても周囲が特に無反応なので次第に私服短パンを履くことの心理的抵抗も低くなっていった。僕はもともと私服として所持していた水色、黒、オレンジの3枚の短パン(より短めのものが好みだったのでいずれも膝上)をローテーションするようになった。水色が一番気に入っていたため、履く頻度も一番高かった。水色やオレンジというと今思えば派手だったと思うが、当時はもっと派手な柄物短パンを履いている男子生徒もいたので僕の水色やオレンジは相対的には中程度の派手さだった。
最初は私服短パンを履くだけで罪悪感があった。小心者なので、校則違反の意識が強く、着替えの数秒〜十数秒だけでも周囲の目が気になって仕方なかった。教室でスラックスを脱いで私服短パン(特に水色とオレンジ)を晒す瞬間はすごく緊張した。しかし、同級生の男子生徒は私服短パンを履いている人が4割近くいて、僕の水色やオレンジにも無反応。教員も着替え時に教室にいることが多かったのに、黙認されるケースがほとんどだった。
最初はスラックスとジャージの履き替えを素早くやっていたが、しだいに慣れていき室内で数分私服短パンを晒したまま荷物整理やクラスメイトとの談笑などをするようになり抵抗が薄れていった。心理的には「みんな履いてるし、注意されたりましてや没収されるリスクは低い(僕の感覚では注意されるリスクは1日あたり1%程度という認識だった)」という安心感が大きかった。時が経つにつれて心理的抵抗はさらに低下。ついには私服短パンだけで廊下に出てトイレに行くくらいまで大胆になってしまったのが、後の事件につながった。あの過程は、小心者の僕が少しずつ「冒険」したような感じで今思うと、黙認文化がなければ絶対に履けなかったと思う。
僕がスラックスの下に私服短パンを履くようになって約半年経った中2の冬頃、昼休みに重大なミスを犯した。その日は一番気に入っていた鮮やかな水色の膝上短パンを履いていた。着替え途中に教室からトイレへ行く数秒の距離で、スラックスを脱いで水色の短パンを晒して移動してしまった。着用に慣れすぎて心理的抵抗が薄れていた。
廊下でぼーっと歩いていたら、突然右脚に力を加えられた感覚。足下を見ると、水色短パンの右裾が男性教員に引っ張られていた。教員は僕が水色短パンだけで教室から出ていった様子を目撃していたらしく、廊下の簡易椅子に座って僕がトイレから教室に戻ってくるのを待ち伏せていたようで、「何履いてるんだ」と問い詰められた。引っ張りは進行方向に軽く、足止め目的で、威圧感は強かったが伸びたり破れたりするのを心配するほどの強さではなかった。しかしこの教員が男子生徒の色Tシャツやパーカーなどを没収する現場を何度か目撃したことがあったので僕はすごく不安になった。教員からこの短パンを没収するので今この場で脱ぐように指示された。僕は焦った。過去に友人がこの教員に色Tシャツを没収された際には一週間ほどで返却されていたが僕の水色短パンもそうだという保証はない。場合によっては返却されずに捨てられてしまうかもしれないと思い、何としてでも没収を回避しようと言い訳を考えた。教員といくつか問答をした末に言い訳(体操服の短パンが洗濯中で無かったので仕方なく履いてきた。着替え中にトイレに行きたくなりこんな格好で廊下に出てしまったが反省している)でなんとか乗り切り、次回履いてきたら没収の上に卒業まで返されないという条件でこの日は水色短パンの没収を回避して股に通したまま下校できた。そのおかげでこの日以降もプライベートでは履けたが、学校で制服のスラックスの下に履くのはやめた。
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